業界初、同性カップル向け死亡保険の中身 ライフネットが既存商品のサービス拡大

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さらに、従来の保険契約と同様に、契約者の収入や保険金額が高額な場合など面談で申し込み内容について確認するケースもある。当然、保険の引き受けに際しては健康診断による健康状態に審査も必要となる。

ただ、死亡保険金を満額受け取ることができないケースもある。死亡の際の保険金受け取りについて、相続税法では、パートナーは法定相続人ではない。通常、課税遺産総額は、課税価格の合計額-基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)となり、法定相続人が受け取る割合で課税遺産総額を按分し税率をかけ、それぞれの税額が計算される。

たとえば死亡保険金が4000万円、ほかに1000万円の預金があり、法定相続人が2人の場合だと、課税資産総額(5000万円)-基礎控除(4200万円)=800万円、この場合、税率は10%となる。法定相続人ではないパートナーは、この死亡保険金4000万円を受け取ることができたとしても、さらに納税金額に2割ほど加算される。つまり、4000万円×10%=400万円、さらに400万円×1.2480万円が納税金額(受取金額は減少) となる(相続財産総額、法定相続人などによって納税額は変わる)。つまり、死亡保険金の受取金額は、税率も考慮した契約が必要となる。

公的にも同性パートナーを認める動き

ライフネット生命では数年前からこうした性的少数者向けの死亡保険商品を考えていたが、1年ほど前から「社内の横断な組織としてプロジェクトチームを作り、検討を重ねてきた」(広報担当者)という。

今回の死亡保険金受取人の指定範囲拡大は、同性パートナー当事者の要望だけでなく、社会認識の変化、さらに自治体の条例で同性パートナーを結婚に準じる関係と公的に認める動きが広がってきたことが背景にある。

ちなみに、同社は新卒採用、中途採用に際しても性別、学歴、国籍は不問。もちろん性的指向、性自認なども不問としており、開業以来、こうした採用方針をかかげてきたという。時代の流れ、変化とともに、多様性を認める生き方も変化する中で、保険業界に限らず、その変化に対応した役割が求められ始めているのかもしれない。

木村 秀哉 東洋経済 記者

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きむら ひでや / Hideya Kimura

『週刊東洋経済』副編集長、『山一証券破綻臨時増刊号』編集長、『月刊金融ビジネス』編集長、『業界地図』編集長、『生保・損保特集号』編集長。『週刊東洋経済』編集委員などを経て、現在、企業情報部編集委員

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