「ひとり親を救え!」運動はなぜ炎上したのか 署名キャンペーンに対して上がった意外な声
ただし、私たちが「低所得」「貧困」=「恥ずかしいこと」「自己責任」という認識を改めない限り、新たに受給対象者となった当事者も「傷つく」可能性はあると思います。
各界の専門家が、支援の必要性を指摘
さて、炎上した部分ばかりが注目され、今回のキャンペーンの趣旨がまだ周知されていない面もありそうなので、ここであらためて紹介しておきます。以下に引用するのは、各界専門家が発表したコメントです。これを読めば、なぜ児童扶養手当の複数子加算が必要であるか、理解しやすくなるのではないでしょうか。
会見で、低所得家庭の子どもたちへの学習支援を行うNPO法人キッズドア代表・渡辺由美子氏は、利用者の多くがひとり親家庭の子どもであることや、学力が上がっても経済的な理由から望む進路に進めない子どもが多いことなどを指摘。「この少子化の時代に、お子さんをたくさん育てている方は褒められるべきなのに、現実にはそういう方たちがいちばん大変な状況にある。これは非常におかしいこと」として、支援の必要性を訴えました。
ジャーナリストで相模女子大学の客員教授の白河桃子さんは、ひとり親支援は少子化対策としても重要であることを解説。出生率が回復したフランスでは、子どもがたくさんいるひとり親は働かなくても手当だけで生活できることを挙げ、日本も「“どんな形で子どもを持っても安心安全に暮らせる”という社会にすることが必要」と指摘しています。
児童養護施設に暮らす子どもを支援するNPO法人タイガーマスク基金代表・安藤哲也氏は、ひとり親家庭が経済的に安定すれば、施設に入らなければいけない子どもが減り、社会的擁護の予算抑制にもつながること、また父子家庭の中にも母子家庭と同様の窮状があるので、支援が必要であると述べています。
さらに会見では、ひとり親当事者である田中直子さん(仮名)もコメントを発表。田中さんは日々、発達障害のある高校生のお子さんにかかりきりで、仕事に就くこともできない状況にあります。ただし、食べ盛りの4人の子どもたちのお腹を満たすことを何より優先し、「そこ(食費)だけは節約しない」と決めているとのこと。
第2子以降の児童扶養手当が「1回の食費ですぐ終わってしまう」額であることや、子どもたちに「もうちょっと、いいものを食べさせたい」という思いがあることを、控えめな様子で語っていました。
田中さんのような人が、安心して堂々と、子どもたちを育てられる社会がいいな、と思います。ひとりでも多くの方がこの問題に関心を持ち、一緒に考えてくださることを願っています。
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