「ひとり親を救え!」運動はなぜ炎上したのか 署名キャンペーンに対して上がった意外な声

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キャンペーンの開始から9日目となる現在、すでに署名数は3万筆を突破。この問題に対する世間の関心は高く、かつ賛同者も多いようです。

しかし、意外なところから反対の声も上がりました。

「配慮が足りない」ことを指摘する声も

キャンペーンが始まった翌朝、政治家の橋下徹氏は、「ひとり親かどうかではなく、所得を基準とすべき」とツイート。

これに対し、キャンペーン呼びかけ人のひとりである乙武洋匠さんは、「所得を基準とすべき」という橋下氏の考えを認めつつも、少しでも迅速に貧困の現状を改善するためには、今ある児童扶養手当制度の中でできることに取り組む重要性を伝え、橋下氏もこれに理解を示しました。
(橋下氏・乙武氏のツイートまとめはこちら

さらに大学講師の常見陽平氏も、ツイッターやブログでキャンペーンに対する違和感を表明。自身は裕福なひとり親家庭に育ったものの、周囲から「母子家庭だから貧乏」などと決め付けられて傷ついた子ども時代の体験を振り返り、「ひとり親=貧困」を印象づける本キャンペーンは「当事者への配慮が足りないのでは」と指摘しました。

これに対し、キャンペーンの旗振り役である駒崎弘樹氏(NPO法人フローレンス代表)が当初、やや感情的に応戦したため、両者が炎上する展開に。

その後、駒崎氏はブログ上で常見氏に謝罪。そのうえで、あるカテゴリーの人々に多く見られる問題点を指摘した際に、該当しない当事者が「傷ついた」と主張するのは、問題解決を遅らせてしまう面があることを示しました。

このやり取りについては、筆者もいろいろと思うところがありました。

まず、常見氏の気持ちも、当事者としてよくわかります。「貧困(貧乏)だと思われたくない」という気持ちは、貧困に該当しない当事者だけでなく、貧困のさなかにある当事者の中にもあるでしょう。

けれど、そこに“配慮”して何も言わなければ、困っている人たちがいつになっても救われない、という駒崎氏の主張も正しいと感じます。そのようなシーンは実際、さまざまな分野の支援の現場で見かけます。

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