『地球の歩き方 ハプスブルク帝国』が異例の発売前重版…「存在しない国」まで扱うようになった"旅行者のバイブル"はどこへ行く?

海外旅行のバイブルと呼ばれてきた「地球の歩き方」が今、大きな岐路に立っている。
コロナ禍で海外旅行需要が減少したことでここ数年は「国内版」やテーマブックの発行に力を入れてきたが、ついに「いまは存在しない国」のガイドブックまで発売することになった。
「地球の歩き方」はどこに行こうとしているのか。編集長に話を聞いた。
「遥かなる古都へ 時を越える旅を」
9月18日に発売されたのは、その名も『地球の歩き方 ハプスブルク帝国』(Gakken)。
11世紀にスイス北部の地方貴族として台頭し始め、13世紀には神聖ローマ帝国の王位を手にしたハプスブルク家は、オーストリアを中心とした帝国を築き、1918年のオーストリア=ハンガリー帝国崩壊まで約650年にわたりヨーロッパの広大な領域を支配した。
同書は、そんな王朝の歴史を旅するガイドブックで、表紙には「遥かなる古都へ 時を越える旅を」というキャッチコピーが躍る。
刊行を知らせるSNSの投稿は大きな話題を呼び、18日の発売を前に、すでに重版が決定したという。
地球の歩き方編集長の由良暁世さんは言う。
「きっかけは2022年に一般の方がTwitter(現:X)に書いた『地球の歩き方 ハプスブルク帝国 とかあったら絶対面白そう』という投稿でした。
編集室でも盛り上がり、3年かけて1冊にまとめた本で、『歴史時代シリーズ』としてシリーズ化する予定です。
歴史や文化的な背景を知っていると、より深く旅を楽しめるので、ハプスブルク帝国の歴史を学びながら旅するためのエリアガイドをもうけました。
さらに、『もし19世紀にタイムスリップしても大丈夫』なように、当時の旅の準備や情報収集などのためのページもつくっています」