1つのケージで夫婦仲良く暮らしてくれることを期待したが、ジゲン君はチャナちゃんにガンを飛ばし、腕を大きく広げるファイティングスタイルを崩さない。チャナちゃんの安全のためケージを分け、目の届く部屋んぽのときだけ一緒に遊ばせることになった。
「ゆくゆくは家族をもって欲しいと思って、フクモモ専門店に行っていろいろ相談していたんですが、ジゲンの威嚇が一向に収まらなくて。やっぱり無理かなと思っていたんです」
ところが……。

思いがけない妊娠発覚
「ちょっとチャナ、太ったんじゃない?」
部屋んぽ中、チャナちゃんがおなかを引きずっていることに、もえさんが気づいた。よく調べてみると、チャナちゃんのおなかはまるで2つのピーナッツが入っているように膨らんでいる。なんと、子宝に恵まれたのだ。
「ケージは別々にしていたのですが、部屋んぽのときは一緒に出していました。広い場所ではジゲンの威嚇も少なくなるので。それでもときどきケンカ腰になるので、チャナが嫌がっているときだけ介入していたんです。もしかしたらそのとき……」
フクモモの交尾は、オスがメスを押さえつけて威嚇の声を出すので、ケンカをしているように見える。ケンカのように見えたが、実は交尾をしていたのだろうと、ひろさんは言う。
フクロモモンガは、その名の通りお腹の袋の中で子育てをする。子どもはある程度成長してからようやく母親の袋から出て、外の世界を探検するようになるのだ。これを「脱嚢(だつのう)」という。

「当時はコロナ禍で、私はリモート勤務で家にいることが多かったんです。チャナのお腹は日に日に大きくなっていて、もうそろそろかな?と思って、仕事の合間に見に行っていました。そしたら、チャナのお腹から、細い尾がニョロっと見えて。慌てて夫に連絡したんです」
ジゲン・チャナ夫婦に、双子の女の子が生まれた。


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