怒り、嫉妬、憎しみ…周りとの関係で生じるイヤな感情。スーと消える方法とは?――人生を好転させる大愚和尚の「離れる力」
「私はあの女をとっくに背中から降ろして置いてきたのに、お前はまだ抱き続けていたのか。あっはっは」
女性に執着していたのは、奕堂のほう。坦山はただ「困っている人を助けた」だけで、困っている人が女性かどうかなんて、なんの頓着もなかったのです。
奕堂は坦山の行いを見て、「あいつ、いいかっこしやがって」と、腹立たしいような、うらやましいような思いを抱きました。
これが、第一の矢。そこですぐに忘れればいいものを、奕堂はこのことを何度も思い出しては「ちくしょうめ」と怒りを新たにし、第二、第三、第四……次々と新たな矢を自分に向かって放ち続けてしまったのです。
坦山和尚のこの「離れる力」のみごとさ。マイナス感情からなかなか離れられないときは、このエピソードを思い出してくださいね。
マイナス感情の炎は飛び火する
■イヤな感情は「初期消火」が肝心
不愉快な出来事があると、マイナス感情が火種になって、心に火事が生じたようになります。ときに「怒りの炎を燃やす」「嫉妬の炎を燃やす」「憎しみの炎を燃やす」などと表現される、そういう状況になるのです。
ボヤのうちに消火しない限り、火に油を注ぐがごとく、心を焼き尽くす勢いでマイナス感情が燃え盛るでしょう。
そうなったら、自分自身も周りも大変です。自分がのたうち回るくらい苦しいだけではなく、マイナス感情の炎が人間関係のいろいろなところに飛び火するからです。
また心が大火事を起こすと、理性が働かなくなります。イライラも手伝って、あるいは苦しみをまぎらわせようと、やたらあぶらっこいものを食べたり、大酒をあおったり、休みなく煙草を吸ったり、体に悪いことをしたくなるでしょう。
何もいいことはないのです。火が燃え広がってからでは遅いので、第一の矢が刺さったと感じたら、すぐに“消火”に走らなければいけません。
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