「断熱材に隙間…」「なぜ、わが家は暑いの…?」 猛烈な残暑《涼しい家と暑い家》の差、熱中症搬送の約4割が"住居"

最も多く見られたのは、断熱材の隙間だ。断熱材は、壁、床、天井の中に隙間なく敷き詰められてこそ効果を発揮する。しかし、隙間の許容度を定める明確な基準はなく、施工する大工やチェックする現場監督の感覚に委ねられてしまっているのが現状である。
また、窓や配管の周り、壁や2階以上のせり出ている部分の床、天井などについては、断熱材の入れ忘れも目立つ。
過去には、断熱材の表裏が逆になっていたという信じられない事例も見られた。断熱材には表と裏があり、室内側には室内の湿気が壁の中に入るのを防ぐ防湿層が設けられている。表裏を逆に施工してしまうと、室内の湿気がすべて壁の中に入ってしまうことになる。
「気流止め」の施工にも不備
「涼しい家」にするために非常に重要な「気流止め」の施工にも、少なからず不備が見られる。
気流止めとは、夏場には60度ほどにもなる屋根裏の熱い空気が部屋と部屋の間の壁に流れ込まないよう、断熱材の充填などによって遮断する処置を指す。気流止めがなかったり施工に不備があったりすると、断熱性能の低下や壁の中での結露を起こす原因となる。
さらに、断熱材が水分を含むと水分が構造体にまでおよび、建物の寿命を縮めてしまうおそれがある。
法改正や建築現場の人材不足などもあって、昨今こうした「断熱欠損」が散見されるのが現状だ。新築時だけでなく、リフォーム時も「連続した断熱層」を確実に施工することが重要である。
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