トランプ政権が進めている和平仲介に対し、プーチンはゼレンスキー・ウクライナ大統領との直接会談を拒否して、ウクライナの民間住宅地への攻撃を続けている。停戦や和平の早期実現に完全に背を向けている。
こうしたロシアの攻撃継続の要因の1つとして、中国の新たな戦略があるのだ。先述の軍事筋はこう指摘する。「もはやプーチンは習近平の了承なくして侵攻をやめることはできなくなったのだ。停戦も勝手に決められなくなった」と。
プーチン・金正恩・習近平の戦争になった
他方、プーチンの要請に応じて派兵した北朝鮮の金正恩総書記は、北京でのプーチンとの会談で、今後も軍事的な支援を継続する意思を伝えた。こうして見ると、ウクライナ侵攻は今や、「プーチン・金正恩に習近平を加えた3人の戦争」になったとも言えよう。
ロシア・中国・北朝鮮のこうした動きが象徴するのは、ウクライナ情勢が文字通り、東アジアに波及してきたという事実だ。岸田文雄前首相が侵攻開始から数カ月後に発した「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」との言葉が現実になったことを意味する。
中国軍の最新兵器が登場した今回の軍事パレードは日本世論にも大きなインパクトを与えた。パレードでの演説で習近平が台湾統一に意欲を示したことも注目された。近い将来、台湾への武力統一に踏み切るのではないか、との懸念は消えていない。
こうした状況を受け、今後の日本外交および軍事政策がどうあるべきか、という議論を一日も早く本格化させることが喫緊の課題だ。
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