「冤罪の可能性があるのでは」「火のないところに煙は立たない」と議論に…サントリー新浪氏「捜査結果を待たず辞任」の重大論点

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ただ、新浪氏としては潔白ではあるものの、会社の取締役会としては捜査の結果を待つまでもないとした。サプリメントに関する認識を欠いた氏の行為は代表取締役会長にふさわしくない判断し、取締役会として辞職を要請。結果、アメリカ出張から戻った氏は説得を受け、「一身上の都合」で辞任する決断をした。

つまり、自身としては問題がないと判断しているが、迷惑をかけたので辞任するということだろう。

企業の代表としては業績に影響があるために辞任するが、そのいっぽうで、経済同友会代表幹事の職については留任する意向を示している(なお、後に、処遇が協議されるとの報道が出た)。政府の経済財政諮問会議民間議員については、現時点での進退は不明だ。

サントリーは先制的ガバナンスとして対応

サントリーで創業家以外からはじめてトップに立った新浪さんは、海外でのM&Aを重ね、事業拡大を進めた。その功績は小さくない。それでも、今回の辞任劇となった。

「違法性の判断は当局に委ねるべき」としながらも、会社側は「サプリを扱う当社の代表取締役会長として疑義が生じること自体、求められる資質を欠く」と。つまり「疑義」であったとしても「問題」だとしたのだった。

この辞任を受け、「捜査結果が出る前に辞めさせるのは拙速では」とする意見がある。実際に、過去こういった事案の際は、公的な判断が下るまで「様子見」とする判断も少なくなかった。ネット上でも「冤罪の可能性があるのでは」「火のないところに煙は立たない」と、さまざまな意見が出ている。

しかし今回、サントリーはレピュテーションリスクを最優先したわけだ。それはきっと同社が消費者の信頼を全面的に依存する商品を販売していることと、新浪さんが有名だったことなどが複雑にからんでいるだろう。事実がどうであれ、まずは先制的ガバナンスとして対応したわけだ。

サントリー
2024年12月に鳥井信宏氏(写真右)が社長に就任した際には、新浪剛史氏との「二人三脚」を誓っていた。鳥井社長は、今回の件を「大変残念」と語った(2024年、撮影:梅谷秀司)
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