《万博》唯一の個人店が挑んだ「冷凍だらけ」の現実 生食材からの完全手作りで、1日7回転の大繁盛とんかつ店を生んだ"執念"の舞台裏

1日7回転、90万円を売り上げる成功
はじまる前はネガティブな話題が毎日のように報じられていたが、大阪・関西万博には現在、毎日10万~20万人が訪れている。『とんかつ乃ぐち』も連日予約で満席だ。
白を貴重に天然木のカウンターが美しい店内は、カウンター8席と、奥には10人が座れるテーブル席がある。この席は常連客や当日客向けだったが、日によって予約客への開放もしている。
メニューは昼夜を通して「おまかせコース」6800円のみ。基本のカウンター席は1日7回転で、日商は約90万円。単純計算で月商2700万円と、個人店としては驚異的な業績を上げている。
さらに、テイクアウトメニューのカツサンドも2800円と高単価だ。原価率は30%と中津時代の25%から上昇したものの、「万博仕様」の仕入れルートを考慮すれば十分に健全な数字である。
メニュー内容は、清水さんが手がける前菜、5銘柄5部位を1貫ずつ提供するとんかつ、お代わり自由のキャベツ、白飯、赤味噌豚汁、締めのカツ丼かカツカレー、小さなデザートだ。

それにしても野口さんはここまで、なぜ挑戦を続けたのだろう。
何度も否定され、客が来ない日が続いたこともある。「やっぱりダメなのかな」と思った日も。
そのたび、「新しいチャレンジなのだから、儲けは一旦横において、お客様に集中することが大切だ」と思い直した。「わざわざ来てくれるお客様に報いるよう、全力でがんばろう」と気持ちの再スタートを切ってきたという。
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