《万博》唯一の個人店が挑んだ「冷凍だらけ」の現実 生食材からの完全手作りで、1日7回転の大繁盛とんかつ店を生んだ"執念"の舞台裏
「根底には『とんかつ好きやったら絶対わかるはずや』という確信がありました。とんかつを食べ歩いた人であればあるほど、絶対わかるはずだ、と。そこだけはゆるぎませんでした」

人間ってどこで感動するかわからない
野口さんが「料理で世界に出たい」と思い始めたのは高校を卒業してイタリア料理店で働くようになってからだ。21歳のとき、アメリカ、カナダ、メキシコをバックパックで周遊したのだが、グランドキャニオンの風景に既視感を覚え、まったく感動できなかったそうだ。
しかし、まったく知らなかった「クレイジーホース」という彫刻に感動した。最後までアメリカ政府に抵抗したインディアン部族・ラコタ・スー族の長の像である。突然の登場と、あまりの巨大さに心が震えた。そのとき、「知らないものに突然出会ったときこそ、人は強く心を揺さぶられる」と学んだそうだ。そして、「その感動を料理に凝縮して提供したい」と考えるように。だからこそ、コース料理にこだわっている。
「人間ってどこで感動するかわからない。意外なところで感動するから、いろいろ提供して、ひとつでも感動を一緒に体験できたらと」
10カ年計画は、まだ始まったばかり。次は東京、そしてロンドンへ。挑戦は続く。


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