今の相場は「老齢期」、上昇しても短命だ 実体伴わない緩和相場は持続性に乏しい

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またつい先日まで、黒田総裁自ら「景気や物価の基調はしっかりしている」と言明しており、その後すぐに追加緩和となれば、日銀の景気・経済分析の質が低いことを認めることになる。それでも追加緩和が実施されてしまえば、株価は上昇し、為替はドル高・円安に進んでしまうだろう。しかし、昨年同時期と違い、現状で追加緩和をした場合の効果は限定的との見方は多い。

一方で11月4日の郵政上場という一大イベントが控えており、株価を下げさせるわけにはいかないという事情もある。11月4日まで株価は持ちこたえる可能性はあるが、その後は「常識的な値動き」に移行しよう。

アナログな投資スタイルに学ぶ

ところで、先日札幌で講演をさせていただく機会があった。投資家の方々のレベルの高さに大変驚いたのだが、最も印象的だったのがあるご年配の女性投資家の投資スタイルだった。この女性はインターネットを一切利用していないという。このご時勢でまさかと思ったが、パソコンも持っていないというから、さらに驚いた。

情報の仕入先はもっぱら新聞で、チャートも新聞紙上に出ているものを参考にしているという。ただし、大手証券会社のアナリストレポートを購読し、特にテクニカル分析に関するレポートを重視し、著名テクニカルアナリストのファンだという。また投資信託も購入することがあるが、その内容がわからないときには、投信会社に直接連絡し、不明な点をすべて聞き出すという。かなりアナログな投資スタイルだが、これで十分に利益が上がっているという。

ご本人は「情報が多すぎるし、この方が冷静に分析する時間が取れるから、このやり方で十分」と言っていた。われわれのように、日々市場に対している者は、世界のあらゆるところから繰り出される大量の情報や材料の分析に追われ、大局を見失いがちだが、このような投資スタイルこそが、いまの市場には不可欠なのかもしれない。

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