今の相場は「老齢期」、上昇しても短命だ 実体伴わない緩和相場は持続性に乏しい
ちなみに、その女性投資家は「いまのような“割高な時期”には、証券マンにどんなに勧められても絶対に買わない」と言っていた。待機資金を保持しながら、大きく下落するのを待って買い、利が乗るのを待つ投資スタイルであることも影響しているのだろうが、なるほど、と納得した次第である。
目先の材料に振り回されない
さて、上記のような投資スタイルの観点から、現在の市場環境を改めて見渡せば、やはり違和感のある相場展開、ということになるのだろう。「緩和相場」といってしまえばそれまでだが、いわば「カネ余り相場」である。実態を伴っていないのであれば、持続性にも乏しいものになる。
市場は「ドラギ・マジック」とはやしたて、強い株価上昇の材料が出たと強調しているが、むしろ逆なのであろう。ユーロ圏ではデフレ傾向が強まっており、ユーロ安に誘導することでインフレ率の引き上げを狙っている。しかし、緩和策により通貨が安くなっただけでは、インフレ誘導は不可能であることは、日銀の政策の失敗をみれば容易に理解できる。
現在の株式市場は、日柄的にみればいわば「老齢期」であり、上昇相場のファイナルステージにある。今後上昇するにしても押し目がなければ、上記の女性投資家のように買いたいと考えている投資家は買わないため、上昇は短命に終わってしまうだろう。日銀が追加緩和でサプライズを起こしても、投資家の反応は鈍く、「笛吹けど踊らず」といった結果になる。
筆者は、長い目で見れば、日本株は2019年に向けて大きく上昇していくと考えているが、今回の調整が終了しすぐに株価が上向くのではなく、半年から一年程度の調整局面が先に来るのではないかと考えている。目先の材料に振り回されず、いまこそより大局的な視点が必要であろう。そのため、いまは「この水準なら買っても大丈夫」と言える水準に調整が進むまで、冷静に市場動向を見極めるのが賢明のように思われる。
今後1週間の日経平均株価の予想レンジは、日銀による追加緩和がないという前提で、1万8200円~1万9100円としたい。
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