変調?エヌビディア、低調な売上高見通しを発表-AI投資鈍化懸念強まる

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人工知能(AI)向け半導体メーカー大手の米エヌビディアは27日、8-10月(第3四半期)の低調な売上高見通しを発表した。急拡大したAI投資が鈍化しているとの懸念が強まった。

発表資料によると、8-10月期の売上高は約540億ドル(約8兆円)前後の見通し。ウォール街の予想平均と同水準だったものの、一部のアナリストが予測していた600億ドル超には届かなかった。この見通しには、中国向けデータセンター関連売上高は含まれていない。同社は中国市場で、米国の輸出規制と中国政府からの圧力に直面している。

同社の慎重な見通しを受け、AIシステムへの投資が持続不可能なペースにあるとの懸念が一段と強まった。中国事業の不透明感も、同社の先行きを曇らせている。トランプ前政権が最近、一部AIチップの輸出規制を緩和したが、売り上げ回復には至っていない。

発表を受けて同社株は時間外取引で、一時約2%下落した。

同社は600億ドル規模の自社株買い増額も承認した。5-7月(第2四半期)末時点での未実行枠は147億ドルだった。

5-7月期売上高は56%増の467億ドルとなり、市場予想(462億ドル)を上回った。前年同期比で160億ドル余り増えたものの、伸び率としては約2年ぶりの低水準。一部項目を除いた1株利益は1.05ドルで、市場予想の1.01ドルを上回った。

事業別売上高は、データセンター部門が411億ドルと、予想の413億ドルをやや下回った。一方、かつて主力だったゲーム関連は42億9000万ドルと、市場予想の38億ドルを上回った。自動車向けは5億8600万ドルで、市場予想にわずかに届かなかった。

米中間の競争が激化する中で、半導体技術は主要な対立点となっており、エヌビディアもその影響を受けている。4月にトランプ米政権が中国顧客へのデータセンター用プロセッサーの輸出規制を強化し、エヌビディアは市場から事実上締め出された。その後、米政府は一部出荷を認める代わりに売上高の15%を徴収する方針に転じた。

一方の中国は、政府系機関が利用するAIシステムにおける米国製技術の使用を控えるよう促しており、こうした政策変更でエヌビディアが中国販売をどれだけ回復できるか予測しづらくなっている。数十億ドル規模の回復を予測するアナリストもいれば、同社が状況を明確にするまで中国売上高の予測を控える向きもいる。

エヌビディアは5-7月期に中国顧客向けAIチップ「H20」の売上高は記録しなかったと明らかにした。

著者:Ian King

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