夫が亡くなったとき、そばにいてくれた…女友だちの存在と、そばの大盛りとビールの大ジョッキと――50代で出会った友、新しい居場所

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歩いていける距離に天然温泉があり、帰る前にそこに行く予定でした。まだ午後1時前、時間はたっぷりあります。

甘味屋でかき氷を食べる誘惑にもかられましたが、酒好きのミカンの気持ちは風呂上がりの1杯のほうにすっかり傾いていました。私たちは植物園を出て寺を参拝してから、徒歩で温泉に向かいました。

深大寺近くの温泉「湯守の里」は、住宅街の中にあります。古い木造の風情ある建屋は、近代的な温浴施設とは一線を画します。

黒光りする廊下を渡り、休憩室の横を通って浴場へ向かいました。

「ああ、ビール……」

既にかなり汗をかいている私たち。ミカンは休憩室のメニュー表にある生ビールに吸い寄せられそうになりましたが、「風呂のあとのほうがおいしいから」と、止めました。名残惜しげなミカンの背中を押して、「女」と書かれた暖簾をくぐりました。

広さはさほどないけれど、露天風呂が複数あり、サウナもついています。私たちは早速露天風呂へ。強い日差しのなか、墨のように真っ黒なお湯に浸かりました。黒湯に入るのは初めてではありませんが、ひときわ黒く、いったん浸かると体がまったく見えません。

熱すぎず、入りやすい好みの温度だったのもあり、何度も上がったり浸かったりを繰り返しました。しびれるような寒さの中での露天風呂もいいですが、真夏も悪くないものです。汗がたっぷりかけます。

さあ、飲むよー!

充分すぎるほど体を温めたあと、冷たいシャワーを浴びて、風呂を出ました。すっきり、さっぱりです。

「さあ、飲むよー!」

大のビール党のミカンは、鼻息荒く食堂に向かいます。そして迷わず注文した生ビールメガジョッキ。店員さんが少し心配げに「大きいですよ」と言いましたが、私が「彼女は大丈夫です」と、笑顔で返しておきました。

私は帰宅後に仕事が残っているため、生グレープフルーツを絞ったソーダにしました。汗をかいたあと、冷え冷えの炭酸を喉に流し込む幸せ!都内にいながら、日帰りでこんな贅沢ができるのはありがたいことです。

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