日テレ「偽装の夫婦」高視聴率を生んだ仕掛け あの「家政婦のミタ」の名コンビはブレがない
ドラマの制作スタッフで、最もクローズアップされるのは脚本家であり、次に演出家(監督)。プロデューサーの名前が挙がるのは3番目で、音楽やバラエティと比べても、はっきりいって働きの割に目立たないポジションと言えます。だからこそ前へ出て思いを語ろうとするプロデューサーも多いのですが、大平さんは実績を重ねた今なお、そのようなことはありません。
プレーヤーである脚本家や演出家を前面に出す一方、大平さんは柳のような身のこなしで難題を収めるなど、オーガナイザーとしての役割に徹しているのです。そのスタンスは、「商品をより魅力的なものに見せるために、自分の立ち位置はどこがベストなのか」をつねに考えているからなのでしょう。
なぜ遊川さんは現場に足を運ぶのか?
そんな大平さんに対して、遊川さんは圧倒的なプレーヤーとしての自分を貫いています。撮影現場に足を運び、俳優に演技指導も行うことは、ドラマファンの間では周知の事実。朝ドラ『純と愛』(NHK)で主演の夏菜さんを叱咤する姿には、批判的な声も集まりました。
しかし、遊川さんのプレーヤーとしての突破力は、筆者の想像をはるかに上回っていました。撮影現場どころか、音楽の制作や編集の現場にも足を運び、今作でも衣装合わせに顔を出して天海祐希さんたちを驚かせていました。
もちろんそこまで現場に参加する脚本家は遊川さんだけであり、だからこそ業界内で異端児扱いされることもあります。しかし本人にしてみれば、現場に足を運ぶ理由は明確。「現場を見たほうがその後の脚本に生かせるから」「現場で俳優が演技しているのを見るとやる気が出るから」というごくシンプルなものであって、決して「出たがりだから」ではないのです。
「最初は違和感を抱いていたスタッフたちも、徐々にその情熱に巻き込まれ、大きなチームになっていく」という成功パターンは、ドラマにかかわらずどんな業界のプロジェクトにも通じるところがあるような気がします。その意味で私たちが遊川さんから学ぶべきは、プロジェクトをけん引するプレーヤーとしての情熱なのかもしれません。
実質・品質の両面で本物のプロ
みなさんは、大平さんのようなオーガナイザータイプでしょうか。それとも、遊川さんのようなプレーヤータイプでしょうか。仕事はもちろんプライベートでも、自分はどちらのタイプでしょうか。
「どちらかというとオーガナイザーだけど、ちょっとプレーヤーもやりたい」「どちらかに絞りたくない」なんていっていたら、中途半端な存在で終わってしまうかもしれません。2人を見ていると、実績と品質の両面で「本物のプロフェッショナルだな」と思わされます。
最後に『偽装の夫婦』の話に戻しましょう。同作の見どころは、ヒロの毒舌な“心の声”と、終盤に「ヒーロー」とダジャレのように呼ばれてヒロが大活躍するシーンですが、早くもその心境が揺れ始めるなどの変化が生まれています。「本当のパートナーとは何か?」というテーマに対する大平さんと遊川さんの答えは何なのか? ドラマを楽しみにしている人はもちろん、 まだ見たことのない人にも興味を引く内容です。
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