アグネス・チャンさん。70歳になった今「完璧を目指さなくなった」理由――限りあるこれからの時間を大事に使うためにしたいこと
完璧を目指しているうちに、日々はどんどん過ぎていく。そもそも完璧になってしまったら、もう次がなくなってしまう。だったら、まずは「小さな完了」を目指してみる。そしてそこから少しずつ良くしていけばいい。それで十分だと思っています。
そのためには悩んでいないで、まずは一歩を踏み出してみる。
実行してみることが自信につながる
これは若い人たちにも伝えたいことですが、私たちの年代では、なおさら大切なことかもしれません。若い人たちには「悩んでいる時間」がある。でも、私たちには、悩んで止まっている時間は、もうあまり残されていない。
やるか、やらないか。だったら――やっちゃった方がいいんです。
例えば、新しい言葉を覚えたいと思ったとします。英語でも韓国語でも、完璧に話せるようになるのは、もう難しいかもしれない。でも、「旅行で買い物ができるくらいの会話」を目指すのなら、できる気がしませんか?
発音が多少悪くてもいい。まずは1カ月やってみる。講座を1本終えてみる。「ここまでやった」と区切りをつけて、小さく完了させていくことで、自分に達成感が生まれます。
絵を描きたい、ピアノを習いたい、旅に出たい――何でもそうです。「いつかやろう」「余裕ができたら」と思っているうちに、タイミングはあっという間に過ぎていく。
もし、「いつかゆっくり旅に出たい」と思いながら、なかなか実行できないのであれば、まずは近くの温泉に1泊するだけでも、日帰りのバス旅行に参加するだけでも十分だと思います。
まずは思い切って実行してみましょう。
「行きたい」という心の声を自分でちゃんと叶えてあげられると、自信がつきます。すべてが完璧に整ってからじゃなくていい。少しでも動いてみること、実際に小さくても「完了すること」に意味があるのです。
カラオケが好き。でも「うまくなってからじゃないと恥ずかしい」と思っていたら、ずっと歌えないままです。1曲だけでも覚えて、一度歌えば、それが「新しい自分」の始まり。歌わないままだったら、昔の自分。でも歌ったら、今日から新しい自分です。
ある友人は、「結婚式の写真を撮らなかったことが心残り」とよく話していました。
私は言いました。「今からでも、撮ってみたら?」と。ホテルの写真館で本格的に撮るのが面倒なら、レンタルのドレスにスマホ撮影だって十分じゃないですか。
「ちゃんとやること」を考える前に、まずは「やってみて完了させる」。心を柔らかくしていれば、意外と楽に一歩は踏み出せます。
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