ニセコを買う外国人投資家の今――税金滞納、違法開発…北海道の超有名リゾート地で今、起きていること《現地ルポ》
その1つは、1970年代から千葉県の不動産会社が保有していたが動きがなく、2017年に札幌の会社が買った。社長の名前はカタカナで記されている。ここは、2018年暮れから2019年に分譲された。
雑木林に入る道路は私有地で、分譲地を買った人たちが共有している。登記簿には購入者の名前が並んでいる。分譲地は10区画あり、シンガポールの個人と香港の個人で1区画ずつ。租税回避地として有名なイギリス領バージン諸島にある4法人が5区画、国内の3法人が3区画を所有している。
国内の3法人のうち2法人は、区画を買う2018年12月の直前に大阪市のマンションの同じ部屋に設立された。当時の代表者は同一人物で、住所は香港にある。
翌年、2法人は同時に東京都足立区のマンションに本店を移転した。次いで2023年、1法人の代表者が香港の別の人に代わり、元の代表者は取締役も辞任した。同時に本店を倶知安町の現地に移した。会社株式の売買によって実質的な所有権が移った可能性がある。
残る1法人は東京都内に本社を置き、代表取締役は中国北京市から2019年に都内に住所を移した。
このうち、香港の個人が所有する土地については、倶知安町が2023年8月と2024年9月の2回にわたって差し押さえた。固定資産税などの税の滞納が続いている可能性がある。今後も滞納が続くと公売になるかもしれない。
売り出し中の土地「外国人を強く意識」
この場所は特別な場所ではない。周辺には一本道のミニ開発だけでなく、比較的広く切り開かれた山林もある。
売り出し中の土地に立てられた説明板には、「Building Coverage Ratio(建ぺい率)」と書かれているなど、英語表記が多い。眺望を示す説明には、ひらふスキー場があるニセコアンヌプリの方角を指して「MT.ANNUPURI」と、反対にある蝦夷富士とも呼ばれる羊蹄山を指して「MT.YOTEI」と書かれている。ニセコの自然にひかれる外国人を強く意識していることがわかる。

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