「外国人転売ヤーだけが得をした」「買えない子どもが泣いてた」などの声も…。マクドナルド「転売対策せず批判殺到」の深い学び

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これからの対策

もちろん「会社は転売ヤーと無関係なのだから責任をとれない」といいたくなる企業人もいるだろう。

しかしこれは中長期的なブランディング維持、という実利的な側面からも対策が求められる。また自社の理念「商品を本来、届けたい顧客に販売する」に忠実になるためにも、積極的な役割を果たす必要があるのだろう。

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ありとあらゆる商品に年齢確認や事前抽選などは難しいかもしれない。しかし社会が見ているのは、特定の人気ある商品について「できうる限りの対策を講じたか」だろう。店員が何人いても不可能な対策を顧客が期待しているわけではない。

私たちは現在、格差社会のなかにいる。実際に格差が広がっているかどうかは、さまざまな統計があるので真偽はそちらに譲る。しかし、真偽よりも、格差社会のなかで虐げられている、という感情をもちやすくなっている点が重要だ。

となると、一部の“ズルいひとたちが、キャラクターを使って金儲けしている”、“さらにそれを煽っている企業がいる”という感情をもち嫌悪感につながる。だからこそ、今回のハッピーセットが社会的問題・関心事になったのではないだろうか。

そして、前向きに転換するために、筆者なりの提言も。それは、「もし転売を防ぐ奇策があれば、企業に積極的に提案してみてはどうだろうか」ということだ。

低コストで確実に実施できる内容であれば企業も検討する。そうやって社会全体で考えることこそ、そもそもの企画である「子どもの笑顔のため」に近づくだろう。せっかくだから社会全体で知恵を出すようにしたい。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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