おおげさにいえば、これは企業が自らの活動によって生じる影響を、より広範囲に考えるべき時代の象徴のように感じた。企業に新たな責任が生じている。
古い責任の時代には、企業はもしかすると法令を守ればよかった。それが現代では、かかわるすべての人たちをできるだけ配慮し、持続可能な社会に寄与できるよう努めねばならない。
責任のおよぶ先は?
では今回、マクドナルドが果たさなかった責任とは何か。主だったところでは3つ指摘できる。
①顧客に対する責任を果たさなかった
まずは①顧客に対する責任は強調されていい。
このところの消費者は、企業が皮相的に述べていることと、実際の行為の差異に敏感だ。もっといえば偽善を感じ取る、といってもいい。自社商品を真に求める顧客に対し、適切な価格で販売することを謳う企業がいる。
そんな彼らが転売ヤーによって希望商品を購入できず失望が生じたのであればどうだろうか。企業が自ら述べている優先顧客をあとまわししたことになる。これは法律の問題ではなく、言行一致の問題だ。
②従業員に対する責任を果たさなかった
次に②店舗のクルーに対する責任だ。企業は従業員に安全で衛生的な労働環境を提供しなければならない。従業員だから、雇用関係のある方々だけではなく、常時使用する方々を含む。
しかしSNSでの動画を確認するかぎり、罵倒やクレーム、そして威圧的な態度に出る顧客がたくさんいた(顧客同士の喧嘩もあったが)。店舗クルーの心痛は相当なものだったと想像できる。
同社が労働関係法令の違反行為をしていると、ただちに断定するものではない。しかし店舗クルーに肉体的かつ精神的な過度なストレスを与えることは、これからより避けなければならないだろう。なにより継続的な雇用や求人にマイナスの影響は避けたほうがいい。

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