「外国人転売ヤーだけが得をした」「買えない子どもが泣いてた」などの声も…。マクドナルド「転売対策せず批判殺到」の深い学び

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ただし、本事件の詳細や顛末について書かれた記事はあふれているため、本稿では企業の社会的責任の観点等、違った確度から論じたい。

企業に課せられた新たな責任

同社は8月11日に当事件について文章を公表した。そこでは以降の厳格な転売対策について説明された。販売個数制限をより厳しくすること、モバイルオーダー等での制限、ハラスメント顧客への販売拒否などが発表された。

世間からの声を受けてすぐさま公表したのは一定の評価ができる。転売ヤーにとってハッピーセットの食品部分を捨てるのは、ある意味で経済合理性があった。1万円のものが1円で売られているとしたら、バイトを雇ってでも並ばせ、そして食品は廃棄するのが近道だ。

もちろんこんなことは良心があったらやらない。ただ、倫理的に欠如したひとたちは合理的に、そのようにするだろう、ということだ。そして実際にやった。その結果、ネット上では「子どもが買えなかった」「得をしたのは外国人転売ヤーだけだ」「店員も見過ごしていた」などの声があふれ出た。

同社はカード販売会社ではなく、食品販売会社である。しかし今回のプロモーションによって食品廃棄という反社会的な行動を引き起こしてしまった。

そこで同社が文章のなかで、食品の廃棄や放置、店舗の混乱を認めて謝罪した。ただ私が注目したのは、顧客だけではなく、店舗のクルー、近隣住民、そしてテナントオーナーにいたるまでを謝罪先とした点だ。

(画像:X/日本マクドナルド公式アカウントより)
購入時により厳格な制限を設けると表明した。「制限を超える大量購入」「何度もカウンターに並ばれる」などの文言も確認できる(画像:日本マクドナルド公式サイトより)
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