「あ、これはダメかも…」 死亡事故が発生しやすい危険な「対面通行・車線間中央分離帯ナシの高速道路」。危ないのになぜ放置されるのか
徳島道が開通した際、期待されていたのは「愛媛県~明石海峡大橋経由・関西方面」への短絡の役割であった。
愛媛県・川之江JCT~徳島県・鳴門ICで比較すると、高松道経由122.2km・徳島道経由で109.6km。かつ、高松道は交通量が多く、51.8kmにもおよぶ高松道の対面通行区間で渋滞・通行止めや速度低下が多発しがちであり、徳島道は関西に抜けるクルマにとって、十分に選択肢になり得ていたのだ。

ところが、長らく2車線であった高松道が、2019年に完全4車線化を果たす。対面通行による速度低下・渋滞が解消されたことで、渋滞時に平均60分程度かかっていた区間の所要時間が半分以下(28分)まで短縮、遠回りの高松道を経由した方が早く到着できるという、逆転現象が生じてしまった。
その結果、高松道の通過台数(さぬき豊中IC―大野原IC間)が2.9%増加、徳島道(土成IC―脇町IC間)が8%減少。徳島道のクルマが流出したとしか思えない結果が、4車線化完了の翌年に出てしまったのだ。
今では要所に「高松道経由・〇分、徳島道経由・〇分」と電光掲示板が設置され、ドライバーは積極的に高松道を選択している。

徳島県は大慌て?
ここで慌てたのが、徳島県側だ。長らく徳島道の4車線化を目指してきたものの、肝心の通行量が減少してしまっては「徳島道は必要です、4車線化に予算をつけてください!」と国に要望する理由がなくなってしまう。
ただでさえ徳島道は中央分離帯のない対面通行区間が7割を占めており、いまの道路の脇にもう2車線を追加するだけでも、膨大な予算がかかる。
県の悲願である「徳島道の4車線化」に向けた動きが停滞、中央分離帯の安全策も少しずつしか進まないといった状況の中で、今回の重大事故が発生してしまった。今後は4車線化だけでなく、中央分離帯の安全策も急ぎ進める必要があるだろう。
ただ、実際に事故が多発している「対面通行区間の安全策」は、徳島道も含めて国交省がやるべき急務だ。また、一般車は2ルートを柔軟に選択できるが、高速バスだとよほどのことがない限り、事前に届出を行った区間しか走行できない。これもドライバーの走行の負担に応じて、もっと柔軟にルートを選べるようにして然るべきだ。
これ以上痛ましい事故が起きないためにも、可能なかぎりワイヤーロープ設置などの対策がとられ、「がっかり高速道路」こと対面通行・暫定2車線の道路でのドライバーのストレスが軽減されることを願いたい。高速道路網を「拡張」するだけでなく「安全性を向上」するのも、国交省の仕事であるはずだ。
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