「規格外品を“名物”に変えた工場長の執念」「東京では売れず“ある地域”でバカ売れ」…ケンミン自販機が証明した“現場発イノベーション”の底力

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近年ビーフンは、「食べすぎると身体に不調が起こりやすい」と言われる小麦粉を使わない、「グルテンフリー食品」としても注目されている。グルテンフリーは美容や健康にもいいと言われており、ナチュラルな食生活をしている人の支持が高い。一般的なパスタやラーメンに比べるとカロリーも低めだ。そういった意味でも、「健康的で手軽な食のストック」にぴったりかもしれない。

焼ビーフン、チャプチェ、はるさめすべてに野菜が入っていてカロリーも控えめ(筆者撮影)

「冷凍自動販売機」ぜひやったほうがいい

2025年は、2、3台自動販売機を増やす見込みだというケンミン。自動販売機ビジネスの将来性について聞くと、「店を閉めている時間に勝手に売れるので、売り上げの補完的な役割を果たすのでは。さまざまな外食で可能性がある」とポジティブな答えが返ってきた。

電気代や人件費を考えてマイナスにならなければ、ぜひやったほうがいいという。特に冷凍食品は、ジュースのようにほかと競合しにくいのも利点だ。ビーフンは、たとえばリンガーハットだと影響があるかもしれないが、和菓子やケーキの自動販売機が増えても何も影響がない。「逆にどんどん増えて、冷凍の自動販売機でものを買う習慣が増えるほうが、弊社にとってもプラスです」と田中さんは笑顔で語った。

ケンミンは2020年、1960~2019年の59年間、『世界で最も長く販売されている焼ビーフンブランド』としてギネス世界記録に認定されている。筆者が冷凍焼ビーフンを食べたときに感じた「期待を裏切らない味」は、長きにわたり「日本人好みの味」の研究が重ねられた結果だったのではないだろうか。

驚きはないが、期待を下回らず、思った味がきてくれる。それを実現するために、想像以上の試行錯誤があったに違いない。

ケンミン
2020年、ケンミンは、1960~2019年の59年間、『世界で最も長く販売されている焼ビーフンブランド』としてギネス世界記録に認定された(筆者撮影)
【前編】ケンミン「コロナ禍で直営レストラン売上激減」で始めた自販機事業が大ヒット→売上高3500万まで伸ばした背景にある「3つの商機」の正体 では、ケンミン自販機ヒットの背景を深掘りしている。
笹間 聖子 フリーライター・編集者

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ささま・せいこ / Seiko Sasama

フリーライター、時々編集者。おもなジャンルはホテルビジネス、幼児教育、企業ストーリー。編集プロダクション2社を経て2019年に独立。ホテル業界専門誌で16年間執筆を続けており、ホテルと経営者の取材経験多数。「週刊ホテルレストラン」「ダイヤモンド・チェーンストアオンライン」「FQ Kids」などで執筆。企業のnote発信サポーター、ブックライターとしても活動。大阪在住。

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