「規格外品を“名物”に変えた工場長の執念」「東京では売れず“ある地域”でバカ売れ」…ケンミン自販機が証明した“現場発イノベーション”の底力

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丹波篠山は自然が豊かな地域で、バイクのツーリングに訪れる人も多い。そういう人が、目立つカラーの自動販売機と「ワケあり」が面白いと、SNSでシェアしてくれたのだ。

ただし、ツーリングでは冷凍食品は持ち帰れない。そこで工場長は、持ち帰れる乾麺も売り始めた。

「なんでもありかい!」と田中さんがツッコミを入れるほど、工場長は自発的に商品ラインナップを増やしていったのだ。
淡路島で新玉ねぎがとれる時期だけ作る「兵庫ケンミン焼ビーフン」など、期間限定発売商品が並ぶことも。さらに、肉の入ったビーフンを無作為に2種入れた「お楽しみセット」が登場することもあるそうだ。

2023年には、2台目の自動販売機も設置。その後、「ジュースも置きますわ」と言い出して、1台からスタートした自動販売機コーナーには、いまや4台が並んでいる。

丹波篠山の工場前には、4台の自動販売機が並ぶ(写真提供:ケンミン)

田中さんが工場にいくと、車でおじいちゃん、おばあちゃんがやってきて、大量に買っているのをよく見かけるという。もう、ちょっとした“名物”となっているのだ。

ビーフン好きは丹波篠山に行けば、面白い商品に出会えるかもしれない。ちなみに、期間限定商品や「ワケあり」は本社前の自動販売機でも並ぶことがあるそうだ。ただし、あくまでも自動販売機は、「商品が残ったとき」などに出すおまけ的存在のため、登場する時期はわからない。出会えばラッキー、当たるも八卦、当たらぬも八卦。

「ぜひ探しにきてみてください。ただ、ワケありを増やすとそちらのほうが価格的にオトクなので、普通のものが売れなくなるんですよね……。売り上げが減るので、ちょっと考えものではあります。でも、普通なら捨てるはずだったものが人に喜ばれる。生産者としては、こんなにうれしいことはありません」

丹波篠山工場は自然に囲まれた工業団地内にある(写真提供:ケンミン)

「米だけの麺」が作れないなら意味がない

筆者は、取材前からひとつ気になっていたことがあった。ビーフンは米の麺である。価格高騰や入手困難の影響は受けないのだろうか。

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