実は、ビーフンの麺はすべてタイでタイ米を使って製造しているそうだ。タイ米は長粒種で、日本米のような粘りが少なく、水気が少ない。そのほうがビーフンに適しているのだ。
以前は日本でタイ米を輸入して製造していたそうだが、日本が米農家を守るために米の輸入をやめたり、高い関税をかけたりするなど、海外の米の輸入はどんどん難しくなった。そこで1987年にタイに工場を設立したという。
「日本米で、むりくりビーフンを作っていた時期もあります。でもそうなると、米以外の材料を混ぜないと作れません。ケンミンは『米だけで安心な麺を作りたい』という想いが強く、それができないなら意味がない、とタイに工場を作ったんです」
日本で行う作業は、通常の乾麺であれば、タイから届く麺に添加するスープを詰め合わせる程度。自動販売機の冷凍食品の場合は、丹波篠山の工場で調理し、冷凍して袋詰めしている。
だから、日本米の値上がりの影響はまったく受けないそうだ。とはいえ、タイ米も値上がりしているそうで、原価率は少しずつ上がっている。また、タイから輸入するため、為替レートにも影響を受けやすい。円高はいいのだが、円安になると原価が跳ね上がる。
加えて、日本の電気ガス水道代、人件費も上がり続けているため、値上げせざるをえない状況だという。自販機のビーフンも場所にもよるが、2021年の登場時から比べると、約100円値上がりしている。

年間3500万円のビジネスに成長
自動販売機の業績は順調で、2024年は、21台合計で3500万円を売り上げた。売れるのは平日よりも休日。時間帯は、夕方から夜、16時~20時頃が最も売れるという。
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