「いすゞのトラック」のアウトドア仕様に注力する深いワケとは? 普通免許で乗れる「エルフ ミオ」が握るカギ

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一方で、物流事業ではドライバー不足が社会問題化しており、普通免許で乗れるエルフ ミオの社会に対する役割は大きい。

そうした社会課題に注目を集めるためにも、乗用車の延長上として商品をイメージしやすいアウトドア仕様で、商品広報戦略を打ったといえよう。

「エルフ ミオ クロス コンセプト」は樹脂製フェンダーやバンパーガードでSUVムードを演出(筆者撮影)
「エルフ ミオ クロス コンセプト」は樹脂製フェンダーやバンパーガードでSUVムードを演出(筆者撮影)

さらに、いすゞの事業全体を俯瞰すると、2030年に向けた企業価値の抜本的な転換のきっかけとして、エルフ ミオは重要モデルのひとつに位置づけられている。

「いすゞのトラック」が見せる「いすゞの未来」

いすゞは、新中期計画「ISUZU IX」の中で、「安心×斬新」でお客様・社会の課題を解決する「商用モビリティソリューション カンパニー」を目指すと定義している。

今回の藤沢工場視察では、中大型トラックの最終組み立てラインなどを視察したが、トラックが「キャブ付きシャシー」と「架装物」が一体となって、最終的にはウイング車、ミキサー車、ダンプ車などになる商品であることを再認識した。

いすゞ藤沢工場での車両組み立ての様子(写真:いすゞ自動車)
いすゞ藤沢工場での車両組み立ての様子(写真:いすゞ自動車)

いすゞが製造するキャブ付きシャシーは、架装物を想定して合計2500種類を混流生産しており、生産ラインではいすゞ独自の製造技術が数多く盛り込まれている。

こうした商品軸で見ると、いすゞのトラックは「社会インフラそのもの」なのだ。さらに、物流自体が社会を支えるインフラでもある。

いすゞ初の量産BEVトラックである「エルフEV」(筆者撮影)
いすゞ初の量産BEVトラックである「エルフEV」(筆者撮影)

新たな取り組みとしては、バッテリー交換式EVソリューション「EVision Cycle Concept」がある。

三菱商事と連携し、経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業」に採択され、2025年度からタイで実証事業を進めているものだ。

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こうしたEVトラックのバッテリーを用いた試みも、電気エネルギーの移動と保管の観点から社会インフラとなりうるだろう。

エルフ ミオ・アウトドア仕様コンセプトは、「いすゞの未来」の先導車なのかもしれない。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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