東京進出はやや不発だったが、ケンミンはさらに自動販売機ビジネスを拡大する。2023年11月には、近畿圏内で商品補充と金銭管理を請け負ってくれる企業を見つけた。しかも同時期、冷凍食品の自販機に注目していた鉄道会社がケンミンの自販機に目を付けたことから、阪急電鉄十三駅のホームなど、駅に特化した場所に自動販売機を設置していった。
駅中、駅前という「第三の売り場」
だが、そこで1つ問題が発生する。ホームに設置する自動販売機は、電車の安全運転に支障をきたさないように、目立つ色づかいが禁止されていたのだ。そこで、青と白の爽やかなデザインに変更して設置することにした。

すると、阪急電鉄十三駅は、神戸線から宝塚線への乗り換えというかなり人が多いホームに設置されたこともあり、よく売れた。本社前や丹波篠山の「バカ売れ」には届かなかったそうだが、「元がとれるぐらいの売り上げ」は出たという。
その流れで2024年に設置されたのが、筆者の最寄り駅、北大阪急行電鉄 桃山台駅の改札前だったというわけだ。
「桃山台は住んでいる人が多いし、駅から家までが遠く、『帰ってごはんを作るのが面倒』と感じる人が多い。絶対売れると思っていました」
筆者も、そこにまんまとはまった一人だ。
こうして少しずつ拡大を続け、現在は兵庫、大阪、静岡、福岡で合計21台の自動販売機を設置。売れ行きは好調で、2024年は、21台合計で3500万円を売り上げた。
東京進出の苦戦も、「なぜ売れなかったか」を立地や地域性の違いで分析し、撤退ではなく改善を続けている。この姿勢が、事業を継続的に成長させているカギなのかもしれない。
今後も拡大を考えているが、これまでの経験から、3つの条件を掲げている。まず、住宅街か、市内に住んでいる人が訪れやすい場所であること。通勤途中に立ち寄れる場所であってもいい。
次に、商品補充や集金を請け負ってくれる存在がいること。最後に、「その地域にビーフンの食文化がある」ことだ。ビーフンの食文化があるとは、一体どういう意味なのか。後編ー「「規格外品を“名物”に変えた工場長の執念」「東京では売れず“ある地域”でバカ売れ」…ケンミン自販機が証明した“現場発イノベーション”の底力―で詳しく解説する。
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