ちなみにど冷えもん、2021年に設置してから今まで、故障はほとんどないそうだ。商品補充と現金回収以外のメンテナンスも不要で、使い勝手が非常にいい。故障がないのは、「アイスやジュースに比べると、しょっちゅう売れて開け閉めするような商品ではないからでは」と田中さんはみている。
自販機事業拡大への道のり
1台目の大成功をうけて、ケンミンは2カ月後の2021年11月、丹波篠山にある工場前にも自動販売機を設置してみた。丹波篠山市は人口3万8707人(2024年7月23日時点)の自然豊かなエリアだ。
しかも工場は市街地から離れた工業団地にあり、関係者以外の人通りは少ない。この工場で、自動販売機で販売している冷凍食品を作っているため、「補充が便利」「周辺の方に食べてもらう機会を作りたい」という理由だった。

田中さんは再び、「こんなところで売れるんか?」と訝っていたそうだ。しかし、これまたかなり売れた。ただし、すぐにではない。雪が溶けて、温かい春になった途端に売れだした。丹波篠山は、兵庫県の中東部に位置する寒い地域だ。冬は人があまり出歩かないため売れなかったのだ。
さらに、丹波篠山の特産品である「お正月の黒豆に使う大豆の完熟前の枝豆」が出回る10月になると、「バカ売れ」した。枝豆目当てに丹波篠山に押し寄せた人々が次々に購入し、1カ月で約1500個が売れた。
冷凍ビーフンの自動販売機は、50個しか収納できない。1500個売れたということは、50個を30日間、毎日補充して、フル回転したことになる。
1台目、2台目のヒットを受けてケンミンは、2022年、九州支店と静岡の冷凍食品工場の前にも自動販売機を設置した。「もっともっと広げたい」と考えたが、商品補充と現金回収を考えると、そこからの拡大は難しかった。

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