与野党の原発事故被災者保護法案一本化が近く実現へ、“原発安全神話”政策の転換につながる可能性も
与野党がそれぞれ参議院に提出した原発事故から被災者を守るための法案--。東洋経済記者の取材に応じた民主党の谷岡郁子参議院議員(同党の原発事故被災者保護法案ワーキングチーム事務局長)は「まもなく与野党間の調整が終了する。数日中にも法案を一本化できる見通しだ」と語った。
「自己決定権に基づき、住民が避難や居住の継続を選択できるようにすることが法案の最大のポイントだ。放射線被曝のリスクを低減するための施策についても、一本化される法案に詳しく盛り込む」と谷岡氏は説明した。
谷岡氏によれば、原発事故を機に離れ離れになった家族が定期的に会うための「面会権」や学校給食で用いられる食材の安全の確保、土壌などのモニタリングの精緻化などが一本化法案には盛り込まれる見通しだ。
「避難や自宅への帰宅を容易にできるようにすることにより、子どもを守るためのお母さんたちの行動を権利として位置づけていく」(谷岡氏)。
現在、衆参両院の震災復興特別委員会ではほかに法案審議がないことから、「法案の一本化にこぎ着けられれば、今国会中に法案自体を成立させることができる」と谷岡氏は見通している。
民主党の谷岡郁子参議院議員
教育者としての経歴を持つ谷岡氏は分子生物学の造詣も深く、民主党の原発事故プロジェクトチームの中心メンバーとしてチェルノブイリ原発事故の人体や生物への影響に関する研究報告の多くに目を通してきた。そのうえで、「福島原発事故の被曝対策は時代遅れ。チェルノブイリ事故からきちんと学んでいない」と断言。福島原発事故による健康被害を防ぐには、「プルトニウムやストロンチウムなどリスクの高い核種のモニタリングや住民の早急な血液検査が必要だ」と指摘してきた。