定年退職をきっかけに襲ってくる…「健康」や「お金」では補えない《老後の深刻なリスク》の正体とは

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定年によって仕事を失うと、達成感や役割を喪失し、自分の存在価値そのものが揺らいでしまうことがあります。「会社にいた頃の自分こそが本当の自分」と感じる人も多く、退職後に心にぽっかり穴があいたような気持ちになるのは自然な反応です。

「健康」と「お金」の備えだけでは不十分

しかし、そうした考え方は一種の錯覚にすぎません。

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会社を辞めたからといって、その人の本質まで失われるわけではありません。むしろ、それまで仕事中心だった人生から一歩離れ、新たな自分を発見するチャンスと捉えるべきです。

退職をきっかけに意欲を失い、家に閉じこもりがちになると、身体的・精神的な老化が急速に進みます。これを防ぐためにも、新たな仕事、ボランティア活動、趣味、地域活動など、自分が関心を持てる何かに積極的に取り組むことが大切です。

また、定年後には「健康」「お金」「孤独」という三大不安がつきまとうなかで、特に「孤独」は深刻な問題となっています。

イギリスの研究では、孤独が肥満や喫煙よりも健康に悪影響を及ぼすという報告もあります。健康や経済面の備えと同じくらい、孤独を防ぐ努力が求められているのです。

孤立を避けるには、退職後も続くような人間関係や地域コミュニティとのつながりを意識的に築いていくことが重要です。友人や家族との時間を大切にするのはもちろん、趣味のグループや地域活動などに参加することで、日常の中に新たなつながりを生み出すことができます。

白澤 卓二 医学博士、白澤抗加齢医学研究所所長、お茶の水健康長寿クリニック院長

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しらさわ たくじ / Takuji Shirasawa

1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、東京都老人総合研究所老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーなどを経て、2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。寿命制御遺伝子やアルツハイマー病などの研究が専門。テレビの健康番組や雑誌、書籍などのわかりやすい健康解説が人気。

著書・訳書・監修に『「いつものパン」があなたを殺す』(三笠書房)、『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』(サンマーク出版)、『アルツハイマー病 真実と終焉』(ソシム)、『アルツハイマー革命 ボケた脳がよみがえる』(主婦の友社)、『肥満遺伝子』(祥伝社)など多数。

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