定年退職をきっかけに襲ってくる…「健康」や「お金」では補えない《老後の深刻なリスク》の正体とは

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さらに、働き続けることは、老化を遅らせ、若々しさを保つ効果があるとされています。実際に、長野県はかつて平均寿命が低かったものの、1975年に男性の寿命が全国4位に上昇し、1990年以降は男女ともに全国1位を何度も記録しています。

その背景には、高齢者の就業率が全国でも特に高いことがあると考えられています。働き続けることで体や脳の活動レベルを維持でき、それが体や脳の老化を遅らせるのに役立ち、元気な70代、80代を過ごすことを可能にしてくれます。

また、高齢期の働き方は「少しでも社会の役に立つ」ことに重きを置くのが望ましいでしょう。小さなことでも社会と関わり、誰かの役に立つという実感が、心身の健康を支える大きな力となり、老化防止の何よりの薬となるのです。

「引退」が老後のリスクになる?

要介護の状態を防ぎ、80代以降も元気に過ごすには、70代の過ごし方が非常に重要です。特に注意すべきなのは、仕事を退職したと同時にすべての活動をやめてしまうケース。現役時代に忙しく働いていた人ほど、リタイア後に何の計画もなく過ごすと、一気に老け込んでしまうことがあります。

そうならないためには、退職後に何をするかをあらかじめ考えておくことが大切です。新しい仕事を始めるのも有効な選択肢の一つであり、老化防止にもつながります。「歳だから引退する」という考え方が、むしろ老いを早めてしまうのです。

自分が望む限り続けられる仕事を、無理のない範囲で一生続けることが、元気な老後を支える鍵となるでしょう。

また、大きなライフイベントが起こるのも、じつはこの年代の特徴です。60代から70代にかけての時期は、いくつもの困難に直面する激動の時期だと言えるでしょう。たとえば、親や配偶者の介護、親しい人との死別、長年勤めた職場からの退職などが挙げられます。

近年では長寿化が進み、「老後」とされる期間が延びるなか、この年代はまさに新たな人生の節目とも呼べる重要な時期なのです。

とりわけ大きな転機となるのが定年退職です。特に、人生の大部分を「仕事=自分の存在意義」として過ごしてきた方も少なくないでしょう。

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