阿部寛「結婚できない男」型の"独身貴族"が現実から消えてしまった深刻な事情

✎ 1〜 ✎ 126 ✎ 127 ✎ 128 ✎ 129
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

もちろん、これは40代における年収なので、結婚を決めた時点で500万円が必須というものではありませんが、「40代になった時にそれくらいは稼げているはず」という将来の展望や希望があるかどうかは大きなポイントです。だからこそ、こんな未婚化が叫ばれている今でも、大企業勤務や公務員の男性の未婚率はほとんど上昇していません。つまり、中間層以下の男性にとっては「結婚は意思や選択の問題ではなくお金の問題」ということになるわけです。

一方で、若いうちから稼ぎがあったり、将来有望だと見込まれた男性は、それこそ「自分の意思や選択とは関係なく」、結婚を希望する女性たちから一本釣りされることでしょう。それこそ不本意未婚の対極にある不本意既婚ともいうべきものかもしれませんが、結婚したらしたで「家族のために働き、お金も時間も惜しまない家族オタク」のように変貌する男性も少なくありません。

「独身貴族」とはほど遠い存在

「結婚できない男」の桑野のような高年収でもこじらせたタイプの中年未婚もいないわけではありませんが、激増する中年未婚人口の大部分は、かつてのイメージのような「独身貴族」とはほど遠い「不本意結婚難民」なのかもしれません。しかも、決して貧困というレベルではなく、かつては普通に結婚できていた中間層年収帯では結婚できなくなったという「中間層の貧民化」が根底にあることは忘れてはならないでしょう。

ちなみに、桑野は続編においても相変わらずの偏屈ぶりを発揮し、誰とも結婚することもなく、50歳を超えていますが、選択的非婚としてとてもしあわせそうです。それも経済的な安定があるがゆえであるとも言えます。結果的に結婚する・しないにかかわらずお金という経済基盤は大切でしょう。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事