阿部寛「結婚できない男」型の"独身貴族"が現実から消えてしまった深刻な事情

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とはいえ、本人はそうしたソロライフをちっとも苦痛とも思っておらず、むしろ徹底的に「一人が好き」というソロ気質の男として行動します。「1人レストラン」「1人焼肉」「1人ビアガーデン」「1人花火大会鑑賞」「1人はとバスツアー」などあらゆるソロ活を満喫するシーンが登場し、まだ「ソロ活」という言葉がなかった頃に先んじてソロ活を実践していた元祖的存在です。

ドラマのタイトルは「結婚できない男」ですが、本人的には「俺は結婚できないんじゃないんだ、結婚しないんだ」と言うように、明確に「結婚しない」という強い意志を持つ選択的非婚であり、「妻と子どもと家のローンは人生の三大不良債権だ」などという名言(迷言)を発します。

加えて「豊かさとは収入の額で決まるんじゃない。自分が自由に使える額、いわゆる可処分所得がいくらあるかで決まるんだ。独身なら稼いだ金は全部自分のもんだ。結婚すれば稼いだ金は妻と子に食いつぶされるだけだ」と力説するのです。

男性の生涯未婚率16%だった時代

このドラマが放送された2006年は後期就職氷河期が終わった頃で、水面下では未婚化が進行していたものの、男性の生涯未婚率16%(2005年)の時代で、で世間的にまだ未婚問題がそれほど深刻になってはおらず、未婚中年男性の急増も顕在化されていなかった頃でもあります。

だからこそ、ドラマの中では桑野の奇人変人ぶりを徹底的におもしろおかしく演出し、「自分の周りにもいるいる」というある意味道化的存在として見せることで高視聴率を獲得しました。

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