阿部寛「結婚できない男」型の"独身貴族"が現実から消えてしまった深刻な事情

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むしろ、この頃は「中年の独身であるがゆえに可処分所得が多く、家族持ちの夫や父親と違い、自分のためだけにお金を自由に使える悠々自適な独身貴族」というイメージがあった時期でもあります。

「自由に使えるお金のない中年独身庶民」が増えた

では、実際、現実社会において40歳の中年未婚男性の経済状況がドラマ放送時と現在とでどう変化しているかを見てみましょう。

就業構造基本調査から、2007年と2022年の40〜44歳の未婚男性の年収別構成比と年収別未婚率の増減を比較します。

まず、年収別構成比を見ると、年収500万円を境に、下は未婚構成比が増え、上は減っています。つまり、2007年と2022年とでは40代前半の未婚男性は500万円未満の構成比だけが増えたということになります。もちろん、全体的に年収500万円以上の男性が減ったわけではありません。500万円以上の男性は結婚しているということです。

年収別の未婚率の増減で見ても、年収600万円以上の未婚率は、これほど全体の未婚率が上昇しているにもかかわらずまったく増えていません。もっとも未婚率の増えた年収帯は300万円台です。

ここからわかるのは、2007年時点では確かに「悠々自適な中年独身貴族」は一定数いましたが、2022年になると「独身貴族」は消滅し、いうなれば「可処分所得が少なく、自由に使えるお金のない中年独身庶民」が増えたということになります。当然、家賃の高いタワマンなどに住むこともできず、優雅なソロ活をするような金銭的・時間的余裕もなく、日々の生活で精一杯で「結婚したくてもできない男」が残ったということになります。

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