東洋経済オンラインとは
キャリア・教育 #近視は病気です

シンガポールで注目の「長寿クリニック」とは?「完全パーソナライズ」された予防医療の最先端

8分で読める
  • 田村 耕太郎 国立シンガポール大学リー・クワンユー公共政策大学院兼任教授、2022~2026年一橋大学ビジネススクール客員教授
  • 窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO
2/4 PAGES
3/4 PAGES
4/4 PAGES

田村:人によって食後に血糖値が急上昇する食べ物は違いますよね。例えば、ケーキがダメなのか、豚肉の揚げ物がダメなのか。食事の写真を送ることで、それと同時に血糖値のデータが比較され、どの食材に反応しているのかがわかるようになります。

自分としては「これを食べたら血糖値が上がりそうだな」と思っていても、実は大丈夫だったり、逆に「問題ないだろう」と思っていても結構反応してしまったり。気を付けなければいけない食材が違うんですよね。エビデンスベースで自分の血糖値がどんな食べ物に反応するかがわかってとても助かります。こっそり食べても、スタッフには全部バレています(笑)。

窪田:パーソナルデータの分析によって、ライフスタイルがどんどん改善されていくのは理想的です。人間の体は非常に繊細に、すべての機能がコントロールされているので、何か一つだけ取り入れればよくなるということはありません。全体をバランスよく調整していくことが、健康で長生きすることにつながると思います。

「長生き時代」に必要なメンタルヘルスケア

田村:それから面白いのが、長寿クリニックではメンタルヘルスも扱っているんです。というのも、私の祖父や祖母がそうでしたが、長生きをしても、友達が先に死んでしまったら、かなりショックを受けます。長生きしても楽しくなくなるのです。

窪田:たしかに、いくら長生きができたとしても、人との交流や心を動かせるものがなければ、それはつらいだけかもしれません。

田村:特に男性にとっては孤独のリスクが高いですよね。そこで長寿クリニックでは、自分よりもはるかに若い人と仲良くなるための心理学的なスキルを教えてもらえるんです。あとは、常に新しい好奇心をかき立てていくスキルも。これらも心理学的に検証されているエビデンスベースのスキルです。長生きを想定したメンタルケアは、他のよくある長寿を目指したクリニックではやっていないことだと思います。

窪田:それは素晴らしいです。心と体、どちらも健康という、そのバランスが大事ですよね。今の時代、ジェネレーションギャップで、世代間の分断が起きています。でも、年を取っても若い人とコミュニケーションできるスキルを持っていれば、もっとスムーズに年代間の垣根を越えていけるはず。社会にとってもそのほうがいいはずですよね。

次回は、長寿クリニックの話をさらに深掘りしながら、シンガポールにおける健康ビジネスの今後についてお伺いしたいと思います。

(構成:安藤梢)

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

キャリア・教育

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象