イタリアの「愛の不毛3部作」を知っていますか

名匠アントニオーニの代表映画はズバリこれ

『太陽はひとりぼっち』
『「太陽はひとりぼっち』(1962年/イタリア・フランス/126分)

ヴィットリア(モニカ・ヴィッティ)は、ある日はっきりとした理由も告げずに、必死に説得にあたる婚約者と別離し、母親を破産に追い込んでしまった株の仲買人、ピエロ(アラン・ドロン!)と結ばれてしまう。しかし、どこか満たされない彼女は、この新しい恋人に対しても自分の心の内を明けられず、ふたりの間に横たわる溝を埋められない……。そして、あまりにあっけないラスト。観る者に解釈を委ねてしまう(まさしく映画版“まるなげ”というヤツだ!)MAスタイルは、彼を敬愛するフランソワ・オゾンや、同じく影響を認めるジム・ジャームッシュ等、数多くの俊英監督の作品に投影されている。

『赤い砂漠』
『赤い砂漠』(1964年/イタリア・フランス/117分)

鬼才が初めてカラー・フィルムで撮った映画史に残る傑作。色彩を抑えたディ・パルマのカメラワークもすばらしい! 交通事故で受けた精神的ショックから立ち直れないジュリアーナ(モニカ・ヴィッティ)は、夫の働く巨大な工場地帯で錯乱状態に陥る……。人生の虚無の象徴ともいえる工場群は、そのまま渇いた赤色の砂漠だ。アントニオーニは画面内に数多くの赤色を登場させ際立たせる手法で、ジュリアーナの狂気と錯乱状態を表現してみせる。また、煙の中に見える煙突や霧にむせぶ巨船は、抽象画のような美しさを放ち、彼女の心象風景と見事に対比させている。

『欲望』
『欲望』(1966/イタリア・イギリス/111分)

巨匠のあまりにも有名な問題作。アメリカン・ニューシネマに大きな影響を与えたことでも知られる。サスペンス・スリラーを踏襲したような前半から、次第に不条理劇の様相を呈してくる後半、そして非現実的ラストに至るまで、現実と虚構の狭間を描くアントニオーニ独自の世界観は、あまりにも鮮烈だ(テニス場でのパントマイムのシーンはとりわけ有名)。公開当時の英国ポップ・シーン(貴重なジェフ・ベック/ジミー・ペイジ時代のヤードバーズのライヴ=スウィンギン・ロンドン!)と風俗を2重に堪能できるのが貴重。音楽はあのハービー・ハンコックが担当しているのも注目だ。

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