「説明がわかりやすい」は要注意サイン。褒められているだけで終わる人が見落とす、人を動かす6つの視点

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同じ指摘であっても、言われる相手によって受け取り方が変わってしまうのは、おそらく「距離が近すぎる関係」には、気づかないうちに“甘え”や“力関係”が混ざり込んでしまうから。著者はそう指摘する。

なるほど一緒に働いている上司や先輩、あるいは親や兄弟に対しては「なんでも相談できる」「言いたいことも言える」というメリットがあるだろう。しかし気づかぬうちに「わがままを言ってしまう」「本音をぶつけすぎてしまう」といった“慣れ”も生まれてしまうということだ。

どれだけ正しいことを言っていても、「近すぎる言葉」はなかなか届かない。
むしろ、少し距離のある第三者の一言のほうが、心の奥まで真っ直ぐ刺さることがあるのだ。(92〜93ページより)

「隣の人はやっている」という推進力

第6のルール 環境・空気を味方につける

どれだけ上手に話をしても、相手がこちらの望む考え方をしてくれるとは限らない。話している内容は伝わった。理解もされた。しかし、一向にその気になってくれない。行動を変えてほしいと訴えても、なかなか変えようとはしない。そういうことも、よくあるものなのだ。

しかし、「環境」そのものが変わると、驚くほどあっさり変わることがある。(109ページより)

ある会社で社内チャットツールが導入された際、「連絡はメールと口頭で十分」だと頑なに使おうとしない社員がいたそうだ。しばらくしてその社員は会社を辞めたが、2年後にたまたま再会した際に話してみると、「いまの会社にはすごく使いやすいチャットツールがあるんです」との発言。それは、前職とまったく同じチャットツールだったのだという。

前の会社では決して使おうとしなかったのに、なぜ?

聞いてみると、今の職場はチャットツールの利用が「当たり前」だという。「みんな使っている」「リアルタイムに返事をしないと、周りに迷惑をかける」
――そんな“空気”の中に身を置いたことで、本人の抵抗感は自然と消えていったらしい。(112ページより)

このエピソードからもわかるように、人を動かす力が「説得」だけとは限らない。「環境」や場の「空気」をうまく使えば、うまくいくこともあるということだ。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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