無謀な減税策が金利上昇で阻止されたケースが、イギリスで2022年に起きている。「トラスショック」と呼ばれるものだ。
トラス政権が財源の裏付けを伴わない大型減税を表明したところ、金利が急上昇した。これは年金基金に波及。そして、資金繰りのために年金基金や運用ファンドが保有国債を売却したため、金利がさらに高騰するという悪循環に陥った。

年金基金の危機を救済するため、イングランド銀行(中央銀行)が国債買い入れという異例の措置を取ることになった。トラス政権は減税策の大部分を撤回せざるをえなくなり、結局、リズ・トラス首相は辞任に追い込まれ、在任わずか44日というイギリス史上最短の政権に終わった。
日本でも今後、同じような状況が起きる可能性はゼロではない。
多党化時代の政権が直面する課題
日本の金利が上昇すれば、日米の金利差が拡大し、円キャリー取引が生じて為替レートは円高になると考えられるかもしれない。しかし、そうしたことは生じないだろう。日本経済の不調によって円がさらに減価する可能性が高く、そうなった場合には円に投資をすれば金利差を超える損失を被る危険があるからだ。
こうした状況下では、株価も下落する。したがって、債券価格、円レート、株価のすべてが低下するという「トリプル安」が生じる可能性がある。
多党化時代に入り、これからの日本の政権はこうしたマーケットの反応に最大限の注意を払わなければならなくなる。
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