無謀な政策に対して国債市場が価格暴落(利回りの急上昇)という形で警告を発し、それに対してはトランプ政権といえども従わざるをえないことを印象的な形で示すものだった。
これは「債券自警団の活躍」と呼ばれる現象だ。最強の警告は株価の下落ではなく、国債価格の下落だったというのが重要な点である。
今回の参議院選挙では、事前に自民党の苦戦が予想されたため、7月になって10年債利回りが上昇。6月には1.4%程度であったものが、7月15日には1.59%まで上がった。
こうして、政治不安定化要因は選挙前にすでに金利に織り込まれることとなった。そのため、与党敗北が現実化しても金利に大きな影響はなかった(なお、株価にも織り込み済みであったため、株価暴落もなかった)。
ただし、今後も現状のまま推移するとは限らない。財政をめぐる政治環境は確実に悪化していると考えられるからだ。
日本もイギリスと同じ道をたどるのか
今回の参院選では、参政党などがポピュリズム的なレトリックによって、現状に不満を抱える有権者層の支持を集めた。このような政党が議席を増やすのは、日本固有の動きというより、アメリカや欧州の一部でも見られるグローバルな潮流だ。今後も多くの議席を獲得する可能性がある。

また、減税を訴える野党が議席を増やした。仮に減税が実施されれば、利回りには上昇圧力がかかる。
その反面、防衛支出を賄うために増税が必要といった議論は出てこない。こうして、財政健全化に向けた政治的な制約は以前より確実に高まっている。さらに、過剰な政府債務と金利上昇によって、財政政策の余地はますます限定されてくる。
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