「容姿も肌もコンプレックスだった」『ちはやふる』の“ヒョロくん”役で話題のクセメン俳優・坂口涼太郎《男性の私がメイクをする理由》

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坂口さんが自分自身と向き合う際のキーワードは「自己肯定」ではなく「自己認識」だという。それは、コンプレックスをしっかりと見つめ、研究することから始まる心の持ち方だ。

「別に自分の全部を肯定できなくてもいいんじゃないかと思っているんです。逆に、そんなことできたら、ものすごくおこがましくないですか。自分にはイケてるところと、イケてないところがあるということをまずは知って、どうしたらいいだろうと考える。伸ばせるところはもっと伸ばせるし、苦手なところは、それを受け止めて、諦めて生きていくしかない」

坂口涼太郎さん
自分のことをよく知ることが大切だと話す(写真:梅谷秀司撮影)

「あきらめ活動」を始めた

その考えに至ったきっかけは、みうらじゅんさんの「自分なくし」という言葉との出会いだったという。坂口さんのエッセイに登場する「らめ活(あきらめ活動)」の考え方にもつながっていく。

「特別な自分なんてないという考えに触れて、確かにそうだなと腑に落ちました。今の自分、この肉体と精神を持って生まれてきたことを受け入れて、この人生をどうやって豊かに、面白く、優しく展開していくかということにフォーカスする。

あの人は美しい、あの人は素敵だ。でも、私はこの体とこの性格で、どうしたら自分のことをリスペクトできて、愛していけるかと考えることが、“らめ活”なんじゃないかと思います。

あきらめるって後ろ向きなイメージがありますが、怖くても自分の状態や真実に直面するからこそ、次にどう動けばいいのかが明らかになっていくんです」

コンプレックスを乗り越える手段として、坂口さんは美容やスキンケアを実践してきた。そのプロセスで肌だけでなく心まで変化していったという。

「30代に入るまでは“基礎化粧品迷子”だったし、今でもまだ、これで私のアイテムは揃った、とは思えていません。でも、いろいろ試してきた結果、美容って何のためにやるんだろうと考えたとき、やはり自分のためにやり続けるものだということに行きつきました。自分が嬉しいとか、楽しいとか思えることを突き詰めていくことじゃないかと」

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