参院選で"再覚醒"したオールドメディアの選挙報道、「報道特集」の一件が示したリスクと可能性

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Xはもはや“荒れたSNS”になり、とくに差別問題のようなとがったテーマは攻撃的な投稿が多くなりがち。決して多くの国民が関心を持ったからではなく、左右両極端に振れた一部の人々の投稿が増えただけだ。また、単純にオーバーツーリズムや不動産価格の高騰に悩む人もいたはずで、外国人差別をする人たちが急に増えたとはいえない。

問題のある取り上げ方の最たる例が、7月12日にTBS系列で放送された「報道特集」だった。はっきり言って扱い方が雑で、ヘイトスピーチと参政党を強引に結びつけて問題視する構成だった。参政党がBPO(放送倫理・番組向上機構)に訴えると言い出したことも含めて、ネット上で騒動が続いた。

参政党の神谷宗幣代表は、一連の騒動を振り返って「たたかれたことで党員が燃えた。もしたたかれていなかったら、ここまで伸びなかった」と語っている。

「報道特集」は参政党を批判したつもりが、まんまと彼らに利用されたのだ。もともとマスコミ嫌いの人たちが同党を支持する傾向があり、そういう人たちに参政党を注目させ、支持をますます集める結果になったのではないか。

選挙報道としてあまりにも「報道特集」は幼すぎた。子どもっぽい正義感で突っ走る報道が世の中にどのような影響を与えるかくらい、今どき想像しなくてどうするのか。スタッフ諸氏には猛省を望む。

テレビの影響力はまだまだ健在だ

ただ、この件はあらためて選挙でのテレビの影響力を感じさせた。SNS選挙が勢いを増す中で「オールドメディアは役に立たない」と言われたが、そんなことはまったくないのだ。

ましてや今回の参院選では、長らく過度に自重してきた選挙報道に対して、テレビ局も新聞社も積極的に取り組んでいた。私は何度か「マスメディアは選挙報道を頑張るべき」と訴えてきたので、思いが通じた感がある。

また、テレビ局も新聞もYouTubeでの動画配信に力を入れていた。

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