
首都圏の中古マンション価格は2013年比で2~3倍になったが、戸建は2~3割増しに留まっている。マンションが1億円越えに対して、新築戸建ては平均4500万円で相対的に安い。マンション購入が予算的に厳しくなったのなら、戸建てを選択肢の1つに加えるのも手だ。
その最たる理由は、賃貸に住み続けるより、持ち家を購入したほうが圧倒的に得なケースが多いからだ。賃料は空室率の低下などの影響で上昇傾向にあり、この現象は当分是正されることは考えにくい。
その上昇幅はシングルタイプよりもファミリータイプのほうが大きく、現在のJ-REIT(不動産投資信託)の物件の賃料上昇率は直近の2025年5月で11.6%まで上がっている。空室率が下がり続けているので、5年もすれば賃料が2割上がっていてもおかしくない状況だ。
今の家賃で住宅ローンを組むとしたら…
ならば、今の家賃で住宅ローンを組むことを考えてみよう。家賃10万円なら、その35年分(420カ月分)で4200万円の物件が買える。家賃15万円なら、6300万円、20万円なら、8400万円となる。それも35年で払い終えたら、家賃のように払い続ける理由がなくなる。また、家賃は支払ったら二度と戻ってこないが、持ち家は返済によって元本が減るため、売却時に住宅ローンの残債との差額が手元に残る場合がある。
その試算をしてみよう。新築時4200万円の戸建の10年後の売却価格は3400万円ほどになる。木造の法定耐用年数が22年なので、10年経過すると、建物代1500万円の約半分ほど(800万円)の価値が目減りするからだ。この間に、住宅ローンは1200万円(月10万円の10年分)返済している。住宅ローン控除という減税策があるので、金利の負担感は軽減される。こうなると、3400万円で売って3000万円の住宅ローンの残債を返すと、諸費用を除けば400万円が手元に残る。
こうなるのも、土地代は少なくとも残るからだ。人口減少し始めて久しいが、都市部の土地価格は値上がりしている。今の制度下では、10年後の戸建用地価格は上がっている可能性のほうが高いということだ。それは相続で取得した空き家が多い中で、戸建て空き家の6割が「物置き化」されているからである。家にあるものをすべて片づけないと人に売ったり、貸したりはできない。それをしない空き家がたくさんあるわけだが、そうしたデッドストックは市場の需給バランスに影響を及ぼすことはない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら