渋沢栄一の「論語と算盤」と岸田元首相の「新しい資本主義」に通底する、「か」ではなく「と」という発想

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『論語と算盤』の論語は道徳であり、算盤は経済ということ(写真:ロストコーナー/PIXTA)
『論語と算盤』といえば、「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一の代名詞ともいえる著作ですが、そこで説かれた思想は、実は岸田元首相が掲げた「新しい資本主義」とも通底していると、リネットジャパングループ株式会社代表取締役社長の黒田武志氏は指摘します。
先の見えない現代にこそ必要な、時代を超えた企業経営の考え方とはどんなものなのでしょうか。黒田氏の著書『私たちは地域の社会課題をビジネスで解決したい 700の自治体と創る「環福連携モデル」』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

渋沢栄一の「論語と算盤」

現代のSDGsやESGにつながる考え方を説いていたのが、「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一です。

渋沢栄一は、およそ500の会社および600ほどの教育・福祉など社会的事業の設立に関与することで日本の近代化に尽力した明治・大正時代の実業家で、著書『論語と算盤』で「道徳経済合一説」などを説きました。

2024年から新しい1万円札の顔になり、また、2021年のNHK大河ドラマ「晴天を衝け」でも渋沢の生涯が描かれるなど、あらためて注目されています。

渋沢栄一の玄孫でコモンズ投信の会長を務める渋澤健さんが、「論語と算盤経営塾」を主宰されています。1年間、『論語と算盤』を題材に自分の考えや経験をディスカッション方式で語り合いながら学ぶ塾で、2025年度で17期目になります。私は、その3期生として参加させていただきました。

会社の創業から10年目の2010年に、収益と社会性の両立を掲げた新たな経営理念を打ち出しましたが、その翌年のタイミングでの入塾です。毎回、名古屋から東京まで新幹線に乗り通い続け、様々な経歴の経営者や士業の方、個人の方など多士済々な方と討議する中で、自分の考えも深まっていきました。

『論語と算盤』の論語は道徳であり、算盤は経済ということです。

次ページともに重視すべき「道徳」と「経済」
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