【産業天気図・石油】製品需要減で「曇り空」続くが、原油高で在庫評価益拡大も

07年度の石油業界は年間を通じて「曇り」の天気になりそうだ。ガソリンなど国内での石油製品需要は減退が続き、各社の業績の伸びを押さえる公算が大きい。だが、原油価格の動向いかんでは「在庫評価益」が発生し、表面上の利益をかさ上げする可能性もある。
 業界最大手、新日本石油<5001.東証>のガソリンを含めた揮発油の販売は、前年度の水準を1%程度下回る見込みだ。国内の自動車販売は停滞しており、ガソリン需要の大幅な伸びは期待薄。元売り各社は相次いで卸価格の値上げに踏み切ったが、需要頭打ちの状況で、今後どこまで価格転嫁を浸透させることができるか流動的だ。
 ガソリンよりもさらに厳しい状況に置かれているのが重油だ。原子力発電所の稼働堅調で電力向けのA重油の需要が減少。工場では原油価格高止まりを背景に、C重油から液化天然ガス(LNG)などへ燃料需要のシフトが進む。
 これに対して軽油などの需要は比較的底堅く推移。このため、各社は特に需要減の著しい重油を軽油やガソリンなどに分解する設備への投資を活発化。コスモ石油<5007.東証>は約1000億円を投じて大阪・堺製油所に重質油分解装置などの建設に取り組んでいる。
 原油高の恩恵をフルに享受しようと、油田開発などいわゆる「上流」部門への投資を積極化させる動きも出てきた。新日本石油は米国メキシコ湾で生産中の原油・ガス田の権益を三菱商事と共同で取得。新日本石油の投資額は日本円で約720億円と過去最大級の規模に達する。出光興産<5019.東証>も、08年度を最終年度とする経営計画で探鉱費など約70億円を新たに計上。07年度は資源開発関連の費用が利益を圧迫する。
 老朽化設備を多く抱えた同業界では、制度変更による減価償却費負担も膨らむ見通し。キャッシュフローベースではプラスだが、利益の押し下げ要因として働く。収益を下支えしてきた石油化学製品のマージンも前期ほどの収益貢献は期待できそうにない。
 不透明材料は、期中の原油価格上昇に伴って生じる「在庫評価益」だ。足元は1バレル=60ドル台後半と各社の前提計画を上回って推移しており、上振れの可能性が残る。
【松崎泰弘記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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