「GIGAスクール構想」で導入された約950万台の端末は、まさに《宝の山》 貴重な"都市鉱山"の資源をみすみす海外に流出させるな
廃棄物の越境移動を制限する条約としては、バーゼル条約があります。これは、途上国の環境保護のため、有害廃棄物の輸出入を規制する条約で、1992年に発効されました。有害廃棄物の国内処理の原則化や越境移動の最小化を目指し、輸出に先立つ事前通告、同意取得の義務などが課せられています。
バーゼル条約では、廃棄物の中で有害な特性を有するものを有害廃棄物として、規制の対象としています。この規制の対象が近年は拡大し、非有害な電子・電気機器廃棄物(E-Waste)についても、2022年6月のバーゼル条約CAP15において規制対象となることが決定されました。2025年1月より発効されています。
これは、パソコンなどの小型家電リサイクルにとっては大きなインパクトがある動きです。
現在、国内の使用済みパソコンは約4割が海外に流出しています。リース会社に戻ってくるパソコンなどは、国内での資源循環が担保されていない通常の廃棄物処理法の許認可で処理されており、高値で売却できる海外の業者に売り渡されることが多い状況です。
小型家電リサイクル法は、国内での資源循環が前提の法律で、私たちのように環境省、経済産業省の大臣認定を取得した企業は、回収から中間処理、そして精錬に至る取引先まで国に届けることが義務付けられています。また、国の立ち入り検査も定期的に行われます。
資源の国内循環を推進するのなら、本来は、小型家電リサイクル法ですべての電子機器を処理すべきだと思います。しかし、小型家電リサイクル法は罰則規定のない促進法です。
大型家電4品目(テレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機)に対する家電リサイクル法のような罰則規定がある法律とは異なり、法的拘束力が強くありません。
そのため、小型家電リサイクル法ができる以前からあった、従来の廃棄物処理法のライセンスで処理するルートからの切り替えが行われず、相変わらず海外への都市鉱山の流出が続いているのが実情なのです。今後、バーゼル条約の動向などが追い風になり、国内資源循環が進むことを期待したいと思います。
GIGAスクール構想で導入された約950万台の端末
GIGAスクール構想として全国の小中学校に国費6000億円をかけて導入された約950万台のパソコンやタブレットですが、更新されて不要になった旧端末は、本来であれば、都市鉱山の有効活用の観点から国内資源循環を前提とした小型家電リサイクル法で処理すべきものです。
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