「アメリカの国家安全保障のために、グリーンランドの所有が絶対に必要だ」――。アメリカのドナルド・トランプ大統領が(1月20日の)就任前からそう繰り返し発言したのをきっかけに、デンマークの自治領であるグリーンランドへの注目がにわかに高まっている。
グリーンランドは北極海と北大西洋に面した世界最大の島であり、石油や天然ガス、レアメタル、レアアースなどの地下資源の豊富な埋蔵が確認されている。では、グリーンランドの資源開発に対する中国企業の投資の実態はどうなっているのだろうか。
開発主体に中国企業が出資
現地では今、大規模なレアアース鉱床の探査・開発に取り組む2つのプロジェクトが進行中だ。それらの事業主体はオーストラリアの資源開発企業のエナジー・トランジション・ミネラルズ(ETM)と、同じくタンブリーズ・マイニングである。
そのうちETMのプロジェクトには、中国のレアアース大手の盛和資源がすでに参画している。盛和資源は2016年9月、462万5000オーストラリアドル(約7億5100万円)を投じてETMの発行済み株式の12.5%を取得し、その当時の筆頭株主になった。
ETMのウェブサイトによれば、開発中の鉱山では軽希土類、重希土類、ウラン、亜鉛など多種類の鉱物を採掘できる。その総量は10億トンを超え、西側諸国向けの最大級のレアアース供給源になる可能性があるという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら