世界でサーキュラーエコノミーへの取り組みが広がる中、一日の長がある日本はどうするか。
気候変動対策やESG投資、パーパス経営や人的資本・自然資本の重視など、おそらく10年前にはほとんど聞かれていなかった言葉が、企業経営の基本のように扱われるようになった。急激な変化に、ついていけないという人がまだいても仕方ない面はある。欧州を筆頭に諸外国に牽引される世の中の流れに疑問を抱く向きが多いのも事実だろう。
しかし、こうした一連の流れから、日本の勝機が生まれてくるとすればどうだろう。GX(グリーントランスフォーメーション)投資と並び、循環経済の到来は日本の蓄積が生きる公算が大きいのではないかと期待している。
循環経済を2000年から謳っていた日本
循環経済(サーキュラーエコノミー)とは資源の価値を可能な限り維持して循環的に利用する取り組みである。EUは2019年に欧州グリーンディールを発表し、循環経済を成長戦略の中核に据えた。そこからはバリューチェーン別規制、情報開示義務化、輸出入規制を柱に域内の規制を徹底している。
規制やルールで縛り、方向性を打ち出すのが欧州の得意のやり方だといえるが、ELV(使用済み自動車)改正規則案、容器包装および容器包装廃棄物規則案など矢継ぎ早に制度・規則まで持っていき、ルールメイキングによって循環経済でも世界を牽引しようとしているようにみえる。ELV改正規則案によると、2031年には新車製造にプラスチック再生材25%の適用を義務化する案もあり、当然日本の自動車会社にも影響を与える。
新規制が出るたびに、産業ごとにどちらを向くべきか問われ、企業ごとにどう方策を取るか選択を迫られることになるため無視はできない。一方、EU法に基づくCSRD(企業サステナビリティ報告指令)規制により、資源循環の情報開示についても2024年から義務化され、これも無視できない。
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