人類の将来に影響、プラスチック汚染条約の焦点 生産制限、問題プラの禁止めぐり交渉が山場
プラスチック汚染への対処が世界レベルで取り組むべき課題として持ち上がったのは、2010年代半ばのことだ。「2050年には海の中のプラスチックの重量が、魚の重量よりも多くなる」というエレン・マッカーサー財団による2016年の報告書が契機の1つになった。
その後、G7(先進7カ国)やG20(主要20カ国・地域)会合でもプラスチック汚染問題での国際的な合意がなされたが、この時点では主に海洋中のプラスチックごみ対策に焦点が当てられた。
難航するプラスチック条約交渉
しかし近年は、海のプラスチックごみ問題のみならず、地球環境全体や人間の健康への影響を含む、より幅広い課題への対処が必要だとの認識が広がっている。2022年3月の第5回国連環境総会において、法的拘束力のある国際条約を制定することが決議されたのは、プラスチック汚染に対する各国の危機感が一段と高まっていることの表れだ。
ただ、条約交渉は難航している。これまでに3度にわたって「政府間交渉委員会」(INC=Intergovernmental Negotiating Committee)が開催されたが、「生産制限など主要な論点についての各国の主張の隔たりは大きく、実質的な議論に入ることができていない」(環境省の大井通博海洋環境課長)。このままでは、年内取りまとめを目指す条約交渉が暗礁に乗り上げる恐れもある。いったい、何が問題になっているのか。
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