人類の将来に影響、プラスチック汚染条約の焦点 生産制限、問題プラの禁止めぐり交渉が山場

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日本では4月10日、環境問題に取り組む大学生・若者らの6団体が、世界共通の法的拘束力のあるルール構築を求める共同声明を、副環境相らに提出した。

メンバーの一人でNPO法人 国際ボランティア学生協会の32期学生代表の小熊日花氏は、「毎年、数百名規模で海岸清掃活動をし、数百トン規模のごみを拾っている」という。

日本でも大学生やユースらが、プラスチック汚染について、世界共通の法的拘束力のあるルール構築を求める共同声明を発表した(撮影:筆者)

取材に応じた小熊氏は次のように語った。「清掃から数か月後にはまた同じような状態になっている。発生したごみを拾うだけではプラスチック問題の解決は難しい。サプライチェーンの上流部分を見直し、大量生産・大量消費をやめる必要がある。日本政府は野心的な国際ルールのためにイニシアティブを発揮してほしい」。

有力企業も世界共通の義務的ルール求める

4月15日には、日本コカ・コーラ、キリンホールディングスなど10社の企業連合が、「世界共通の義務的ルールの構築」などを求める声明文を、環境省など条約交渉の関係省庁に提出した。

これまで日本政府はプラスチック関連の業界団体などの意見を重視し、生産規制には反対ないし慎重な立場を取ってきた。しかし、厳しい政策を求める市民の声はしだいに高まりつつある。サーキュラーエコノミーに取り組む企業からも賛同の声が上がり始めた。

「国ごとに事情が異なるので一律の生産規制に反対するという日本政府の姿勢は、世界の多くの国の支持を得られなくなりつつある」(グリーンピース・ジャパンの小池氏)

プラスチックは海に流出して海洋生物に被害を及ぼすだけでなく、紫外線によって微細化し、人間の体内にも取り込まれている。そのことによる健康への害についても懸念が高まっている。流出リスクの大きいプラスチック製品や有害な化学物質の規制、プラスチックごみの適正処理のための途上国への資金支援の仕組み作りも条約交渉での主要なテーマだ。

プラスチック条約交渉は、私たちの将来を大きく左右することになる。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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