「GIGAスクール構想」で導入された約950万台の端末は、まさに《宝の山》 貴重な"都市鉱山"の資源をみすみす海外に流出させるな
中国は1998年にレアアースに対する輸出割当制を導入し、2006年以降、輸出関税を引き上げました。
このような動きが、日本国内でのレアメタル、レアアースの国内資源循環を推進する小型家電リサイクル法の制定につながっていきました。中国は、その後、WTOに敗訴しましたが、2015年から輸出許可制が導入されています。
また、インドネシアはニッケルについて2020年に、国内でのニッケル製錬とEV用バッテリー産業の開発を推進するため、ニッケル鉱石の輸出禁止措置を導入しました。
昨今、ロシアとウクライナの問題を契機に世界の分断化の動きは大きくなっており、それに伴い資源供給が途絶えるリスクも高まっています。そのような背景から、日本国内に資源大国並みに眠る都市鉱山を有効活用する小型家電リサイクル法の重要性は、次第に高まっているといえます。
ですから小型家電リサイクル法はもっと政策の中心に位置付けて議論されるべきなのですが、そうではないのが現状です。
大量の循環資源を「輸出」している日本
現在の日本の実態は、大量の循環資源を国内で再利用するよりも、国外に輸出してしまっている状況です。
なぜかというと、産業廃棄物として処理された循環資源は、日本国内より新興国をはじめとする海外諸国へ売ったほうが高く売れるからです。
新興国などでは人件費も安く、公害対策などの規制が日本より緩いこともあり、ローコストで廃棄物の処理ができる分だけ資源の取引価格が高額になる傾向があります。
そのため、経済合理性に従い、日本から海外へ貴重な都市鉱山の資源が流出する構造になっているのです。
さらに、資源の主な輸出先となる新興国では、適正な処理を行うキャパシティがないため、新たな環境問題も引き起こしています。そのようなことから、近年では産業廃棄物の輸入を禁止する動きも出てきており、廃プラスチックの輸入禁止措置は、中国、インド、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシアで行われています。
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